臨床美術とは

日本発祥の他に類を見ないクリニカルアート

臨床美術とは、1996年に認知症の症状の改善を目的として研究がスタートした日本発のクリニカルアートです。医師・美術家・カウンセラーの三位一体方式で研究が進められています。

 独自のアートプログラムに沿って、臨床美術士と共に作品を制作するアート活動です。単に「見る」だけでなく、触ったり、匂いを嗅いだり、味わったり、音を聴いたりしながら感覚を働かせ、手を動かして作品をつくり出します。

 臨床美術士が用いるアートプログラムは、脳を活性化することを目的に作られており、絵が好きな人だけではなく、苦手な人でも子どもから高れしゃまで、どなたでも親しむことができます。心が解放され、生きる意欲や潜在能力を引き出す効果があると言われています。作品作りに上手い下手はありません。作品に現れた個性豊かなそれぞれの表現を大切にします。

 制作の最後に互いの作品を鑑賞し共感しあう時間があるのも特徴です。

 今日では認知症の方だけでなく、介護予防や社会人のストレスの緩和、子どもの感性教育、思考力の育成(アートシンキング)など、幅広い分野で取り入れられています。

臨床美術は多方面で活用されています

1.福祉教育・感性教育として(幼児、小学生、中学生、高校生、大学生の感性教育)

2.スタッフ研修として(医療従事者、教職員、企業研修)

3.メンタルヘルスケア(ストレスの多い職種についている職員への福利厚生)

4.医療・リハビリとして(認知症の高齢者とその家族、精神的に悩みのある方へのケア)

5.介護予防・福祉事業として(認知症予防に関心のある方、意欲が低下し引きこもりがちな方、発達が気になるお子様)

一般的なアート絵画教室やアートセラピーと臨床美術の違い

 一般的なアート教室や絵画教室では、主に技術の伝授や上達を目的としています。そこには「上手・下手」という観点が含まれます。臨床美術ではこの観点を持ち込ませない、とらわれないという特徴があります。感じること、表現すること、表現することを楽しむことを目的としています。

 アートセラピーでは描かれた絵から心理状態を分析し、そこから治療に繋げています。 

 臨床美術では心理分析をするのではなく、コミュニケーションや制作を通して、共に表現する場や時間を大切にします。より楽しく表現できるように働きかけます。そして表現に共感し、ともに喜び合います。

臨床美術はエビデンス認定されています。

 臨床美術が臨床美術療法として日本認知症予防学会よりエビデンスの認定を受けました。

 ・臨床美術療法は、認知症患者の知的機能を改善する可能性が有る。

 ・臨床美術療法は、認知症患者の情動障害(BPSD)の改善効果が認められる。

日本臨床美術協会より

 臨床美術とは、絵やオブジェなどの作品を楽しみながら作ることによって脳を活性化させ、高齢者の介護予防や認知症の予防・症状改善、働く人のストレス緩和、子どもの感性教育などに効果が期待できる芸術療法(アートセラピー)のひとつです。


『臨床美術』及び『臨床美術士』は、日本における㈱芸術造形研究所の登録商標です。

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